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第五三回

松平定信の改革と白河藩の食文化

風月堂の名づけ親である松平定信(第参回、第十一回コラム参照)は、2025年のNHK大河ドラマ『べらぼう』の主要人物のひとりです。

定信は幕府の老中として、寛政の改革を主導しました。

当時、大飢饉が発生して日本全国に甚大な被害が発生。このため「質素倹約」をスローガンに様々な政策を実行し、動揺する社会を建て直そうとしたのです。


出版統制などにより庶民の娯楽を弾圧したことから絶大な不人気を被りましたが、善政と呼べる政策も数多くあります。

江戸では七分積金といって、各町内の必要経費を節約。節減分の七割を天災などの非常時のために積み立てさせることとしました。

この七分積金は明治時代になるまで続けられ、積立額はおよそ150万両(1両=5万円とすると750億円)にのぼったとか。活用は渋沢栄一に託され、江戸から東京へと近代化する際に必要な、社会、建設、教育などの都市インフラの整備に大いに役立てられました。

もちろん江戸だけでなく地方向けの政策も色々打ち出しています。例えば藩が管理する義倉や、自治体が管理する社倉という蔵を建てさせて平常時から食料備蓄を義務づけ、飢饉に備える体制を構築しました。

定信の領地である白河藩(福島県)では火山灰地で米が育ちにくい土地柄であることから、米以外の作物の栽培を奨励しました。

その中の一つが蕎麦です。寒冷で清らかな水が豊富な白河藩は蕎麦を作るのに最適の土地柄。その美味しさは、日本三大馬市に数えられる白河馬市に訪れた人が「馬買った!蕎麦も美味かった!」と駄洒落を言った事で全国に広まった、なんていう伝説もあります。

また定信が南湖公園を造った際に、働く人々に餡をまぶした団子をふるまったことから南湖団子が誕生しました。

現在も白河蕎麦と南湖団子はご当地グルメとして知られており、松平定信は地元の名君として慕われています。
 

本文イラスト:ほーりー

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