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第五二回

チョコレートを初めて口にした日本人

バレンタインデーといえばチョコレートですが、初めてチョコレートを口にした日本人は誰でしょう。織田信長?徳川家康?
 
いいえ。残念ながら彼らが活躍した戦国時代から江戸時代初期にかけては、チョコレートが日本にもたらされた記録はありません。


ただこの時期、日本人が海外でチョコレートを口にした可能は高いとされています。

チョコレートの原料のカカオは、紀元前3500年ごろから南米エクアドルで栽培されていたことが近年の研究で判明。当時は特権階級の栄養ドリンクとして、カカオ豆をすりつぶし、水や唐辛子、トウモロコシなどを混ぜて飲んでいました。チョコレートの語源も、アステカ民族の言葉で苦い水を意味する「ショコラトル(
xocolatl)」だと言われています。

15世紀半ばに大航海時代が訪れるとスペインにカカオがもたらされ、やはり贅沢な栄養ドリンクとして人気になりました。
やがて飲みやすいように蜂蜜や砂糖を入れて甘く味付けしたものがヨーロッパの社交界を中心に波及していきます。


丁度このころ、仙台藩主・伊達政宗の命を受けてスペインに渡った日本人が支倉常長。伊達政宗は江戸時代初期、仙台藩でのキリスト教布教容認と引き換えにスペインの植民地であるメキシコとの貿易を狙っており、外交使節として支倉常長を派遣したのです。

常長はスペイン国王やローマ教皇に拝謁しました。当時、スペインを中心とするヨーロッパ社交界でチョコレートドリンクが流行していたことを考えると、外交使節である常長もどこかのタイミングで口にする機会があったと考えるのが自然です。


常長はこの間の記録を19巻に及ぶ日記に書き残しているので、そこにチョコレートドリンクを口にした日のことが書かれているのでは?と言われていますが……。残念ながらこの日記は、現在、所在不明。いつか発見されるその時を、楽しみに待ちましょう!

本文イラスト:ほーりー

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