HOME ブランドサイト 江戸を楽しむ スイーツの将軍・徳川家茂

江戸を楽しむ

Enjoy Edo

第二十回

スイーツの将軍・徳川家茂

 14代将軍・徳川家茂は甘いものが大好きなスイーツ男子でした。彼に関する史料を見ていると様々なお菓子の名前が出てきて面白いんですよ。

 例えば子供の頃に好きだったと伝わっているのは樽柿。渋柿を空いた酒樽で渋抜きして甘~くしたお菓子です。柔道の師匠の頭の匂いが (整髪料の匂いか?)「樽柿に似てる!」と言って会うたびに膝の上によじ登り、匂いを嗅ぎたがって甘えたそうです。
 
 また15歳の時に起こった桜田門外の変の際には、襲撃された大老・井伊直弼宛に見舞いの品として自分の好物である氷砂糖を送っています。実は直弼はこの時既に首を討たれて死亡していたのですが、将軍である家茂にはその事実は伏せられました。家茂が少年であることに配慮してか、直弼は急病でしばらく登城できないと伝えられていたのです。事実を知った時の家茂のショックを思うと・・・切ないですね。
 
 18歳で京都に上洛した時には妻である皇女・和宮からお菓子が差し入れられました。家茂が京都から江戸の和宮に送ったお礼の手紙には、毎日政務で忙しいけれど和宮からもらった見事な菓子が励みになっている、と書かれています。見事な菓子が何であったのかはわかりませんが、ひょっとして江戸で有数の高級菓子商だった風月堂のものもあったかも?!なんて想像してしまいます。
 
 21歳の時、長州征討の陣中である大坂城で体調を崩し、和宮から砂糖が、義理の母である天璋院篤姫から大小豆が見舞いに送られましたが、家茂はそれらが手元に届く前に亡くなってしまいました。
 
 幕末という激動の時代を将軍として生きた徳川家茂にとって、甘いお菓子を食べる事が唯一最大の癒しだったのかもしれませんね。

本文イラスト:ほーりー

エラーメッセージ