HOME ブランドサイト 江戸を楽しむ 上野のお花見は「高尚」

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第三四回

上野のお花見は「高尚」

「上野は高尚、向島は粋、飛鳥山は野暮、御殿山は野卑」これは、江戸の花見の名所の特徴を表した言葉です。
 
 御殿山は品川宿の中央にあった小高い丘で、、眼下に江戸湾を眺めながらピクニックが楽しめる庶民的なお花見スポット。さすがに「野卑」はひどい気がしますが、賭場が開かれるなど風紀が乱れがちな地域だったため、このような評価になったようです。
 
 飛鳥山は江戸の中心部からはだいぶ離れていて、当時は自然あふれる「野暮」ったい田舎。飛鳥山の下はほとんどが田畑だったので、山の上から土器の皿を投げる、かわらけ投げ、という遊びもあり、のんびりとお花見を楽しみたい家族ずれに人気でした。
 
 向島には料亭や、歌舞伎役者の別荘があったため、「粋」な旦那衆のお花見スポット。遊郭・吉原でも、パトロンが店で働く遊女や従業員全員分の人件費を出して、皆で向島に花見に出かけることがあったようですよ。
 
 上野風月堂のすぐ近く、上野の御山の寛永寺の境内(現在の上野公園)は、江戸時代初期に整備された桜の名所(第十三回コラム参照)。
 
 三代将軍・家光のころは、桜の季節には江戸中から老若男女が集い、ゴザを布いて、飲めや歌えの宴会を開いていました。
 
 ただ、四代将軍・家綱、五代将軍・綱吉が寛永寺に埋葬され、徳川将軍家の菩提寺になると、どんちゃん騒ぎがはばかられ、「高尚」な花見が行われるようになります。
 
 客層は大名や豪商など富裕層中心で、御殿女中や商家のお嬢様といった女性客が多いのも特徴でした。お花見のために皆でお揃いの着物を仕立て、ゾロゾロと歩きながら、静かに桜を愛でたそう。
 
 今年は私も、上野で「高尚」なお花見を楽しんで、お土産に上野風月堂のこの季節限定の桜をつかった商品を買って、春を満喫しようと思っています!

本文イラスト:ほーりー

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