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江戸を楽しむ

Enjoy Edo

第三六回

江戸のハロウィン?!

 上野風月堂では10月からハロウィンのパッケージが登場するそうです。頭がカボチャのおばけ、ジャック・オー・ランタンは、日本でもすっかりおなじみですよね。カボチャ味のおかしや、カボチャをかたどった飾り付けを目にする機会も多く、ハロウィンといえばカボチャというイメージもあります。
 
 日本にカボチャが初めて入ってきたのは戦国時代。ポルトガル船によってもたらされました。ただ、この船がカンボジアを経由していたため、日本ではカンボジアからやってきた来た野菜と認知され、カンボジア⇨カボチャに訛って伝わったというのが命名の由来と考えられています。
 
 江戸時代に入ると全国的に普及しますが、一律にカボチャと呼ばれていたわけではなく、例えば江戸時代中期の『物類称呼』という史料には、「大坂では南瓜、またはボウフラ。江戸では昔はボウフラといっていたが、今はカボチャという」などと書かれています。
 
 ボウフラというのはポルトガル語の「abobora(アボーボラ)」が訛って伝わった呼称。南瓜というのは南蛮(外国を意味する言葉)の瓜という意味です。
 
 砂糖が貴重だった当時、自然な甘みがあるカボチャは、当時の女性が好むものを並べたことわざとして、芝居、蒟蒻、芋、蛸、南瓜といわれるくらい大人気の野菜になってゆきました。ちなみに、当時食べられていたのは日本カボチャ(東洋カボチャ)という身がねっとりとした品種で、煮つけにして食べるのが好まれたようです。
 
 一方、カボチャは外国からやってきた得体のしれない野菜だという考え方も根強く、幕末になると浮世絵にカボチャのお化けが描かれるようになります。
 
 江戸の主な産地は新宿や砂村なのですが、砂村にはカボチャの怨霊も出没したとか・・・。まるでハロウィン!

本文イラスト:ほーりー

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