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第四一回

寅年にちなんで虎のお話

 2022年は寅年。寅年生まれの人はチャレンジ精神旺盛なロマンチストが多いそう。江戸幕府をひらいた徳川家康や、幕末に活躍した吉田松陰が寅年生まれと聞くとなんだか納得ですよね。
 
 日本では江戸時代まで子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥の十二支で暦や時間や方位を現していたので、十二支に含まれる動物はとても身近な存在でした。
 
 特に寅年の虎は、一日に千里を走るという行動力と強靭な生命力があることから、あらゆる災厄を払い家を繁栄させる縁起のいい存在と考えられてきたのです。
 
 このため絵画の世界では、虎は古くから重要なモチーフのひとつでした。
 
 ただ、虎は日本に生息していないので、絵師たちは実物を見たことは無かったんです。このため、中国からもたらされた絵画や毛皮などを参考に想像交じりに描かれました。
 
 江戸時代に全国各地の子供たちに人気だったおもちゃ・張り子の虎もまさに想像上の虎。「大きめの猫かな?」と思えるような見た目の、ゆる~い雰囲気が魅力です。
 
 張り子の虎は、寅年生まれの子供の干支お守りとしてはもちろん、子供の健やかな成長を願う縁起物として広く普及しました。
 
 幕末に海外からもたらされた感染症のコレラが流行った時も、子供たちにお守りとして張り子の虎が配られたという記録があります。
 
 強靭な生命力を持つ虎に、得体のしれない病気から子供たちを守ってほしいという願いが込められていたんでしょうね。
 
 実物の虎を人々が見られるようになったのは明治時代のこと。上野動物園で虎が飼育されるようになってからです。
 
 上野動物園には現在も4頭のスマトラトラがいます。せっかくの寅年、トラに会いに行ってみるのも楽しいと思いますよ。
 
 帰りは是非、上野風月堂にお立ちよりくださいね!

本文イラスト:ほーりー

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