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第四二回

江戸時代もパンダが大人気だった?!

 上野風月堂のほど近くにある、上野動物園の人気者といえばパンダ。令和3年には双子のシャオシャオとレイレイが生まれ、すくすくと成長しています。
 
 実は江戸時代もパンダは人気者!パンダはパンダでも、パンダマウス、という小柄でぶち模様が特徴の鼠、なんですけどね。当時はその見た目から、豆班(まめぶち)と呼ばれていました。
 
 鼠は作物を食い荒らすので、日本では古くから害獣とみなされていたんですが、江戸時代中頃にこの考え方が大きく変わります。
 
 まず、生類憐みの令などの影響で、どんな生き物の命であっても粗末にしてはいけない。大事にしようという道徳観が広まりました。
 
 さらに、鼠は大黒様のお使いで幸福をもたらしてくれる存在。子供も数多く生むので、子孫が絶えない縁起物であるという考え方が浸透していったんです。
 
 また、鼠が出る家ということは、裏を返せば鼠が食べるお米などの食べ物がある、豊かな家だということ。

 「ねずみさえ 居らぬ貧しさ 猫飼わず」

 なんて川柳もあるように、鼠が豊かさの象徴と受け止められている節もありました。
 
 こんな経緯から、鼠は庶民も気軽に飼える縁起物のペットとしてのニーズが高まっていたんです。
 
 中でも愛好家が多かったのが、突然変異や掛け合わせによって、毛並みにブチ模様が現われた斑鼠(まだらねずみ)。
 
 その斑鼠の中でも、特に豆斑、つまりパンダマウスは、とても小柄で体よりもしっぽが長く、目がつぶらで真っ黒、というとても個性的で愛らしい見た目。
 
 しかも人懐っこく穏やかな性格で、鳴き声もキィーキィーと可愛らしいことから、老若男女問わず大人気でした。
 
 今も昔も、珍しくてキュートな動物に癒されたいという気持ちは変わらないんですね。

本文イラスト:ほーりー

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