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上野風月堂について

History of Fugetsudo

55 年末の行事食いろいろ

十二月八日の事始め(事八日とも)が、江戸の年末行事の始まり。この日から正月準備を始め、天から降る福を受け止めるための笊を竹の棒の先につけて屋根の上に立てました。

そして芋、人参、牛蒡、豆腐、蒟蒻、小豆を入れた味噌汁、お事汁を食べます。

味噌汁に小豆⁈なんだか不思議な感じがしますが、小豆の赤色は太陽や血の色=生命力の象徴。古来より絶大なパワーがあると信じられていたため、厄除けの縁起物として行事食につきものだったんですね。

そして十二月十三日が煤払い。つまり大掃除です。旧暦では、この日は鬼宿日という鬼が歩かないので婚礼以外全ての事が吉になる日とされていました。

このため、お正月にやってくる歳神様を迎えるための掃除をするのに最適な日として定着したのではないかと考えられています。


大掃除が終わったら参加者全員で胴上げ。その後は鯨汁や刺身を肴に宴会をしました。これが今でいう所の忘年会です。


煤払いが終わると、餅をのせる三方や若水を汲む桶などの正月用品を売る年の市が各地で始まります。


年の市には沢山人が押しよせ、長い順番待ちの時間が発生。この時に人気だったのが正月屋というお汁粉やお雑煮の屋台です。体が温まる軽食って、より美味しく感じますよね。


そしていよいよ大晦日。この日はもちろん蕎麦を食べました。理由は蕎麦のように細く長く生きられるようにという願掛け説や、良く切れる蕎麦にあやかり年内の悪い縁を断ち切るため説、金細工師が散らかった金粉を集めるのに蕎麦を使うためお金が集まる縁起物として食べた説など色々あります。


ただ当時は商家中心に毎月晦日に蕎麦を食べる習慣があったので、今ほど特別感はなく、年越し蕎麦とも呼ばれていませんでしたが。


いずれにせよ、江戸の年末行事には様々な食の楽しみがつきものだったんですね。